気軽に羽織れるショート丈コートの代名詞といえば、Pコート。ストリートではすっかりお馴染みのアイテムなのに、私たちはPコートのことを良く知りません。たとえば「P(ピー)」って何だろうとか思いませんか。元々は海軍のユニフォームだったってご存知でしたでしょうか。もちろん、そんなことは知らなくてもお洒落はできます。ただ、知っていても損はありません。冬のおしゃれに向け、せっかくですから、どうでしょう、今回はPコートをクローズアップしてご紹介していきますね。
Pコートの歴史を紐解いていけば、19世紀にさかのぼります。当時はすでにイギリス海軍とアメリカ海軍のユニフォームとして採用されていました。しかし、それ以前の記録はほとんど残っていないため、どこで誕生し、どういう紆余曲折を経て水平のユニフォームになったのか、正確なことは不明のままです。Pコートの「P」も諸説あり、「粗い羊毛の生地」を意味する「pea」「pay」「pee」「pie」などに由来しているとか、「水先案内人」を意味する「pilot」に由来しているとか、オランダ語でラシャ(毛織物)を意味する「pij」に由来しているとか、実際は研究者によって意見が分かれているご様子。なお、軍服の前には、昔から漁師たちが着ているものだったといった説もあります。
世界に広まったのは、第二次世界大戦後のこと。ほかのミリタリーグッズと同様に軍の放出品として一般の市場にも大量に出回りました。とくにアメリカ海軍はニューヨーク州ブルックリンにある造船所「Brooklyn Navy Yard」の衣服工場で軍用のPコートを大量に作りまくったので、出回った量も半端じゃありません。そのため現在私たちの知っているPコートは、アメリカ海軍のデザインがルーツであることがほとんどです。ちなみに当時の製品には「NAVAL CLOTHING FACTORY(ネイバルクロージングファクトリー)」のラベルが付いています。このファクトリーでは軍服のほか国旗も生産していたとか。
初期のPコートは、ロング丈でした。しかし徐々に甲板でのスムーズな作業を優先して動きやすいショート丈に変わっていきます。一方、変わらなかったのは、左右どちらの風向きにも対応するダブルブレストの両前合せの仕様。そして、立てることでフードのように防寒できる大きな襟です。これらの特徴は、Pコートの定番として現在にも受け継がれています。
Schott(ショット)
日本でPコートといえば真っ先にこのブランドの名前が上がるほどの代表的なブランドです。1969年に日本に上陸し、アイビーブームと共に日本のPコートの黎明期を築きました。アメリカ軍に衣料品の納入実績もあり、Pコートには官給品と同じ再生ウールの生地を使用。本物と変わらない存在感を放っています。
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Fidelity(フィデリティ)
1941年に米国マサチューセッツ州ボストンで創業。実際にアメリカ海軍にコートも納入していた本格派アウターブランドです。メルトン素材を使用したアイテムが中心となっています。ネイビーミリタリー(海軍)を得意としており、Pコートやダッフルコートに定評があります。
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STERLINGWEAR OF BOSTON(スターリングウェア オブ ボストン)
「Schott」と並び称される二大Pコートブランドの一角。ベトナム戦争の時代にアメリカ海軍の公式Pコートを供給して以来、現在に至るまで40年以上ずっと米国海軍にPコートを納入し続けている老舗です。アメリカ国防総省の基準をクリアしたミルスペックのアイテムを中心に展開しています。
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MIGHTY-MAC(マイティーマック)
アメリカ最古の港町、グロスター。そこはセーリング(ボート)スポーツのメッカでもあります。同ブランドは1908年の創立以来、高級素材やデザインにこだわった「マリン(海)に関する服」を展開してきました。ところが1990年代に消滅してしまい、20年の時を経て日本の会社が当時そのままを再現し復刻させています。
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MACKINTOSH(マッキントッシュ)
1830年創立のイギリスを代表する伝統的なコートブランド。英国では、今もレインコートの総称を「マッキントッシュ」と呼ぶほどの地位と知名度を確立しています(日本人がヘッドフォンステレオをすべて「ウォークマン」と呼ぶのと同じと言えるでしょう)。近年ではデザイン性あふれるコレクションを数多く発表しています。
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その他おすすめブランド
■Gloverall(グローバーオール)
■J・PRESS(ジェイプレス)
■BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
■LANVIN en Bleu(ランバン・オン・ブルー)
■UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)
■UNIQLO(ユニクロ)