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ストリート・ウオッチング(渋谷ストリート)

【概要】
古来、「塩谷の里」だったからとか、平安時代の領主が渋谷一族だったからとか、赤サビの多い川「シブ川」が流れていたからとか、しぼんだ谷あいだったからとか、いろいろな説があり名前の由来は不明だが、江戸時代、幕府の直轄地として栄えていた渋谷一帯は、武家屋敷や田んぼが広がる集落だった。明治以降は山手線や私鉄各線が通るようになり、交通の要として発展していく。そして、戦後は東急グループによって、日本有数の文化都市・繁華街へと変貌を遂げていった。特にファッションの街として注目されるようになったのは、1970年代に入ってからである。それまで若者文化・ファッション文化の発信地といえば、新宿だった。しかし、1971年の丸井ファッション館や73年のパルコが誕生したのを皮切りに、78年には東急百貨店や東急ハンズ、79年には109などファッションビルが次々と建ち、80年代以降もつづく。それによって、ファッションリーダーたちの大移動が起こったのだった。こうしたファッションビルに入っていたテナントはDCブランドが中心であったため、1980年代初頭のパルコ周辺には「カラス族」をはじめDCブランドでキメた若者や店員が練り歩いた。

それから1980年代も後半になると、バブルで浮かれる「なんとなくクリスタル」な風潮に対するアンチテーゼのごとく、トラッドカジュアルで身を包んだ若者たち「渋カジ」が登場。最初は裕福な山の手周辺の大学生あたりに始まり、やがてはセンター街にたむろするチーマーといった思春期の中高生の間で流行した。一方、バブルを通じて豊かになったことで、ファッションの低年齢化が進み、高校生がブランドバックを持ち歩く時代となった。ブランドはアイデンティティと深く結びつき、バブル崩壊後も女子高生たちは「ブルセラショップ」「援助交際」などでお金を稼ぎブランド品を身にまとう現象が起こり、90年代以降「女子高生」「コギャル」がストリートの主人公となった。1996年には「渋谷109」がリニューアルして「ギャル」の聖地となり、つられて男は次第に「ギャル男」化した。こうした「ギャル」文化は、2010年現在も若者ファッションのオピニオンリーダー的存在である。いまや渋谷は日本最大の若者の街として君臨しているが、近年では、渋谷駅周辺から若者よりもお金を持った大人たちをターゲットにした再開発が進んでいる。

【渋谷のストリートファッション】
現在、渋谷は、カルチャーごとに4つのエリアに分かれる。まず、JR渋谷駅を出て北、ファッションビルが立ち並ぶ『公園通りエリア』。それから、その奥にある『神南エリア』。つづいて渋谷109を中心にした『センター街エリア』。最後にセンター街の向こう側から南に広がる『道玄坂エリア』である。

■公園通りエリア
渋谷は、東急グループとセゾングループによって開発された街である。東急グループは、おしゃれな東急沿線文化を生み出し、109(「トーキュー」から命名)や東急ハンズ、セルリアンタワーなどを渋谷に建設した。一方、セゾングループは「渋谷をディズニーランドのように回遊できる街にする」という文化戦略構想を打ち出して、パルコやロフト、無印良品などを渋谷に展開している。ファッションビルや百貨店がひしめく公園通りエリアは、まさに歴史的にもそんな渋谷開発の中心地であった。現在も、ファッションビルのほかにセレクトショップが出店し、コンサバ・キレイめ系な若者が集まっている。

■神南エリア
明治神宮の南にあるから「神南」と呼ばれるこのエリアは、公園通りとファイヤー通りの間に広がり、路地裏にはビームス、ジャーナルスタンダード、ナノ・ユニバース、アメリカンラグシー、ドレステリアといったセレクトショップが集まっている。そのためファッションに興味を持ちはじめた層、あるいはファッションにあまり興味がない層が集まる公園通りエリアと比べ、こだわりをもった人が多い。また、渋谷区のハローワークも神南にあり、おしゃれなカップルが手をつないで仕事を探しに来る、といった光景も見られる。

■センター街エリア
井の頭通りと道玄坂の間に広がっているこの一帯は、渋谷の象徴ともいえるエリアだろう。日本人口の9割を占める地方出身者にとって、原宿といえば「竹下通り」であり、渋谷といえば「センター街」である。カラオケ、ダーツ、ゲーセン、ケータイショップ、ファーストフード、日焼けサロン、マンガ喫茶、クラブ、レコード店等々・・・遊び場がごったがえし、時間と欲求をもてあました少年少女たちが24時間営業で青春のエネルギーを昇華している。こちらも竹下通り同様、年齢も成人を迎えるとなかなか入りにくいエリアとなっている。ちなみに、コスプレ治安維持団体のガーディアン・エンジェルスや、伝説のヤクザ組織である安藤組が闊歩しているのもこのエリアである。

■道玄坂エリア
東急Bunkamuraやドンキホーテが建つ玄関口から一歩路地に入ると、ライブハウスやクラブ、ついでにラブホテルや風俗店が密集する渋谷のディープスポットである。そのため、音楽目当てのDJ、ミュージシャン、ダンサー、B系、エクストリーム系等々の若者や、ナンパ目当てのギャル男・お兄系、DJ、ミュージシャン、ダンサー、B系、エクストリーム系等々の若者が集まるエリアとなっている。ちなみに円山町のラブホテル街が近いためか、昔は道玄坂の通りはAV女優のスカウトが多くいた。関係ないけど。

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