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ストリート・ウオッチング(原宿ストリート)

【概要】
江戸時代、甲州街道の防衛拠点として、江戸藩邸や組屋敷が建ち並ぶエリアだった。明治以降も交通の要所として発展し、1906年には原宿駅が開設。戦後にはアメリカ空軍宿舎が置かれ、米軍兵向けのショップがオープンするなどアメリカ文化が流入してくるようになった。転機となったのは、1960年代中旬。明治通り沿いにドライブイン「ルート5」がオープンすると、深夜に『原宿族』という若者がクルマで集まるようになったのである。さらに1970年代から80年代にかけては、比較的閑静な住宅街だった原宿エリアは一気に若者達の街・ファッションタウンへと急激に変化していく。ドライブイン「ルート5」の跡地にはラフォーレ原宿が建ち、デザイナーやカメラマン、芸能人、そして彼らに影響を受けた『アンノン族』などがぞくぞくと原宿に流入してきた。歩行者天国で『竹の子族』が踊り狂い、タレントショップには中高生が「生写真」を目当てに殺到し、身近な人からアイドルが誕生するようになり、「原宿でスカウトされた」がティーンズたちのステータスとなった。1990年以降も「若者の聖地」として、原宿は不動の地位を築いている。

【原宿のストリートファッション】
現在、原宿は、カルチャーごとに5つのエリアに分かれる。まず、JR原宿駅を出て南にすぐ、『竹下通りエリア』である。それから、竹下通りを抜けて横に伸びる『明治通りエリア』と、青山寄りの『表参道エリア』。つづいて90年代後半に一世を風靡した『裏原宿&キャットストリートエリア』。最後に、都内最大のスピリチュアルスポットとして近年注目を集めている『明治神宮エリア』である。

■竹下通りエリア
地方から初めて原宿に訪れた者にとって、原宿とは竹下通りのことである。竹下通りを恋人や友人とアイスクリームを食べながら歩くことが、最高にナウい正しい原宿の遊び方なのだ。事実、竹の子族が雨後の竹の子のように出現していた1970年代当時、原宿といえば、竹下通り一帯が代表的だった。特徴的なのは、チェーン店ではない小さなショップが密集していること。90年代からはロリータやビジュアル系の洋服店も目立つようになった。近年は低年齢化が激しく、成人が竹下通りを歩くには非常に勇気が必要である。

■明治通りエリア
ラフォーレ原宿を中心に広がるエリアである。ラフォーレ原宿は、ティーンズのメッカだったファッションビルだが、最近ターゲット年齢層を上げた模様。神宮前交差点の角といえば、ラフォーレ原宿、GAPビル「ティーズ原宿」(2011年終了予定)、ロッテリア&ジョナサン、そしてコンドーム専門店「コンドマニア」であるが、なぜか「じゃあ、コンドマニア前に12:00待ち合わせね」と言われることは少ない。なお、渋谷につづく通り沿いにはファッションビルではお馴染みブランドの路面店が並び、パルコや丸井では時間を持て余してしまうヤングが徘徊している。

■表参道エリア
明治神宮と共に生まれた表参道。風情のあるケヤキ並木は大人なムードがあり、明らかに竹下通りとは一線を画している。年末年始にはイルミネーションが灯り、普段も高級ブランドビルの輝きが辺りを照らしている。もちろん、天才建築家・安藤忠雄プロデュースの「表参道ヒルズ」も忘れてはいけないぞ。たとえば高級ブランドの路面店は、グッチ、シャネル、ボッテガ・ヴェネタ、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール・・・そう、表参道に相応しいのは、ガキんちょではない。ここは、原宿というよりも、青山なのである。

■裏原宿&キャットストリートエリア
神宮前3丁目近辺。閑静な住宅街だったこのエリアが注目を集めだしたのは、1990年代。家賃が安いという理由で、若手デザイナーが次々と小さなお店をオープンさせる。1993年には、ノーウェアーが、エイプが、ネイバーフッドが、1994年にはシュプリームが、1996年にはナンバーナインが、というように。大人たちの企業が仕掛けるファッションスタイルに辟易していた若者たちは、まだ一般に知られていないというだけで最先端な気がするインディーズ・カルチャー(主にファッションと音楽)に魅せられていく。さらに年齢が近く、同じエリアとセンスを共有し、我らの気分を代弁してくれる若手デザイナーたちを崇拝していく。そして、裏原宿は伝説となった(マーケティング的にも)。また、キャットストリートには多くのセレクトショップも店を構え、裏原宿には世界中のインディーズ・カルチャーが集まるエリアとなる。

■明治神宮エリア
明治天皇と昭憲皇太后を御祭神とする都内最大の神社。初詣参拝客は日本一である。大都市新宿と渋谷に挟まれていながら、森があり、池があり、庭園もあり、境内は清清しい空気で満たされている、まさに都会のオアシスだ。世紀末になればオカルトが流行するのはいつの時代も世の常だが、日本では新世紀の21世紀以降にオカルトブームが隆盛している。昨今の厳しい不景気で現実世界が嫌になったからだと推測しているが、団塊の世代が高齢となりおじいちゃん・おばあちゃんの聖地巡礼が流行しているだけかもしれない。まぁ、なんにせよ、明治神宮も「パワースポット」なる新語と共に大盛況となっている。特に「清正井(きよまさのいど)」にいたっては、5時間待ちという有様だ。そのため、明治神宮は、子供からお年寄りまで、さらに外国人観光客まで、じつに多彩な人たちが集まるエリアとなっている。

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