スポンサードリンク

スタイル説明/モッズ

モッズとは、1950年代後半~60年代にかけてロンドンで流行した中流階級の白人による若者文化。「モダーンズ」の略。テッズ、ヒップスタ、ビートニクの影響を受け誕生した。歴史的には、まず1958年、ロンドンにおいてイタリアン・コンチネンタル・スタイル(別称「アーリー・モッズ」「モダニスト」)でキメた若者たちに注目が集まるようになる。彼らのコンセプトは、『今を生きること』『女よりもオシャレや仲間に関心を持つこと』『スマートかつクールに生きること』などであった。1962年には、彼らを代表するファッションリーダーたちがタウンマガジンに掲載され、その中の一人にマーク・フェルド(後のマーク・ボラン)がいた。その後も、マスコミには当時の若者たちのファッションに対する情熱が幾度と取り上げられ、やがて彼らは『モッズ』と呼ばれるようになる。

モッズのライフスタイルは、昼間は適度に働き、稼いだお金は服やレコードやスクーターにつぎこみ、夜はクラブでドラッグを吸って踊り狂う、というものだった。仕事現場では落ちこぼれが多く、その反動が夜に爆発していたともいわれている。影響を受けていたのは、「ヒップスタ」。ヒップスタとは、黒人文化、とくに新しいジャズ「ビバップ」(モダンジャズの先駆)と、その精神性をお手本としてゲットー(アメリカの黒人貧民地区)で生まれたスタイルである。下層階級の向上心とダンディズムの象徴であるヒップスタは、裕福なアメリカの白人層には相手にされず、人種差別の少ないイギリスの労働者階級の若者に支持されたのだった。中期以降は、R&Bやモータウン系ソウル、ジャマイカ生まれの「スカ」、さらには後の「ブリティッシュ・ロック」の源流となるザ・フー、ビートルズ、ローリング・ストーンズなどを聴いていた(ビートルズは最初無視されていた。コアなモッズはビートルズの先進性が理解できなかった)。詳しくは『モッズと音楽』を参照。

ファッションについては、イギリスが好景気だった初期においては、ロンドンのサヴィル・ロウ地区(「背広」の語源)でイタリアン・スーツを仕立て、ソーホー地区でエスプレッソを飲み、隣町のカフェに行っては他人の服装チェックに余念がなかった。一方、マーク・ボランのようなミュージシャンかゲイしか着ないようなファッションを好む者もいた。そのようなタイプのモッズは、ソーホー地区リージェント・ストリートの裏手にあるカーナビー・ストリートに集まった。そこには、“モッズの企業家”と称されるジョン・スティーブンが開いたモッズ御用達のショップなどが建ち並んでいた。

そんなモッズたちも1960年代後期になると、年齢的に限界を迎えた。多くは結婚したが、そのままホモセクシャルの道を歩む者もいた。ザ・フーなど先代が作り上げたモッズ・カルチャーを見て育った若い次世代モッズたちは、そのダンディズムの本質を理解できず、単なる不良少年と化していた。1964年には、新たに台頭してきたロッカーズと衝突し(『クラクトン暴動』)、新聞各社も盛んに報道したが、真相はマスコミが面白おかしく演出した過剰報道だったといわれている。実際、モッズは都市部、ロッカーズは田舎に暮らしていたため出会うことは少ないのが現実だった。しかし報道に影響を受け、以降モッズロッカーズは戦う宿命を背負わされ、本当に暴動を繰り返すようになった。同じ頃、モッズのメッカであるカーナビー・ストリートにも田舎者しか集まらなくなり、1966年には、TV番組「レディ・ステディ・ゴー」の放映終了、カリスマショップ「ザ・シーン」の閉店と共に、モッズ・ブームは終焉した。

≪モッズのランク≫
1.モダニスト
・・・「モッズ」という言葉が生まれる以前のモッズの創始者。
2.フェイス
・・・モッズの顔。ファッションリーダーのこと。
3.ナンバーズ
・・・「仲間」のこと。
4.スティッツ
・・・自分の考えをもたずブームに乗っただけの者。リーバイスを履き、フレッドペリーを着ていればモッズだと思っているような連中に対しての蔑称。
5.モッカーズ
・・・モッズとロッカーズの両方のファッションを取り入れたファッション先行のポリシーのない奴。
6.ミッズ
・・・自覚のないモッカーズ。手に負えないとされた。

【「モッズ」に含まれるスタイル例】
モダニスト(1958-62)
ハイ・ギア(1958-64)
ロー・ギア(1962-65)
スクーター・モッズ(1959-65)
ルード・ボーイ(1960年代中期)
■ピーコック(1965-69)
■スキンヘッズ(1964-72)
■ニュー・スキンズ(1976-80年代初頭)
■ネオ・モッズ(1970年代後半)
■ニュー・モッズ(1990-90年代中期)

【代表的なブランド例】
フレッドペリー
ロンズデール
クラークス
ジョンスメドレー
ベンシャーマン

【代表的なアイテム】
◇モッズ・スーツ(モヘアのイタリアン・スーツ)
◇チェルシー・ブーツ(ビートルズ愛用)
◇モッズ・パーカー(朝鮮戦争停戦によって出回った米軍M-51フィールドパーカー)
◇モッズ・キャップ(オランダの船員帽)
◇グッチのローファー

【同時代のスタイル】
1960年代

スポンサードリンク